スタディサプリ Product Team Blog

株式会社リクルートが開発するスタディサプリのプロダクトチームのブログです

New Joiner こそ Working Out Loud ~ 具体的な実践方法と実践に向けた姿勢 ~

こんにちは。24 卒で入社し、7 月から『スタディサプリ小学・中学講座』の開発チームで Web エンジニアをしている @ryomaejii です。 本記事は スタディサプリ Product Team Advent Calendar 2024 17 日目の記事で、 私が大切にしている考え方である Working Out Loud について紹介し、New Joiner こそ Working Out Loud するべき理由について話していきます。

対象読者

  • New Joiner
  • これから New Joiner を受け入れるチームのメンバー
  • リモートで働く機会のある全ての方々

Working Out Loud とは

Working Out Loud とは、自分の今の作業内容や思考をチームメンバーに見えるところで吐き出しながら仕事をすることなどです。 私は普段から自分の作業内容を Slack のスレッドに吐き出す形で Working Out Loud を実践しています。 詳しく知りたい方はWorking Out Loud 大声作業(しなさい)、チームメンバー同士でのトレーニング文化の醸成自分が大切にしている Working Out Loud という考え方をご覧ください。 私は学生時代インターンスタディサプリの開発チームに所属していた際にこの考え方に触れ、以降ずっとこの考え方を大切にしています。

Working Out Loud することのメリット

Working Out Loud を行うことで、自分自身だけでなく、チームにとっても様々なメリットがあります。 本記事では、New Joiner こそ Working Out Loud を行うべき理由にフォーカスし、その際の姿勢と具体的な実践方法について解説します。 メリットの紹介は簡潔にとどめ、あくまで実践の意義に重きを置きます。

本人にとってのメリット

  • 他のメンバーに自分の作業内容や思考を共有することで、フィードバックをもらうことができる
  • 発信することへの心理的ハードルを下げることにつながる
  • 自分の作業内容や思考を整理することもできる
  • 自分の作業内容や思考を後から確認することもできる

チームにとってのメリット

  • 他の人の作業内容や思考を把握しやすくなり、フォローしやすくなる
  • チーム全体での知識共有・進捗共有がしやすくなる
  • 個人の思考にとどまらない解決策を見つけることができる

なぜ New Joiner こそ Working Out Loud するべきか

ここからが本題です。 なぜ New Joiner こそ Working Out Loud するべきなのでしょうか。 それは New Joiner は、チームメンバーの中で一番チームについて知識が少ない、そしてチームの中で一番知られていない存在だからです。 Working Out Loud を実践することで、少しでもこの状況からの脱却を早めることができ、この状況をより有意義なものにすることができます。

チームメンバーの中で一番チームについて知識が少ない

当たり前のことですが、New Joiner はチームメンバーの中で一番チームについて知識が少ないです。 そしてチームメンバーが New Joiner が何を知らないのかすべて把握することは難しいです。 よって New Joiner には、わからないことを積極的に聞くことが期待されており、その過程で人を頼ることができるという権利があると私は考えています。Working Out Loud はこれらを達成するために役立ちます。

わからないことを聞く心理的ハードルは、Working Out Loud を実践することで下げることができます。 Working Out Loud での吐き出しは、基本的には自分に向けたものですが、他のメンバーにも見えるところで吐き出すことで、 間接的に自分がわからないことをチームメンバーに知らせる手助けになります。 また、いきなりわからないことを聞くよりも、自分の作業内容や思考を共有することで、他のメンバーにフォローしてもらいやすい環境を作ることができます。 フォローする側としても、前提状況を知らない場合に比べて、作業/思考ログを通して New Joiner がどのような状況で何について悩んでいるのかを知ることができるため、より適切なフォローができるようになります。

チームの中で一番知られていない存在

New Joiner はチームの中で一番知られていない存在です。 能力や考え方も知らない状態で、New Joiner に対して適切なフォローをすることは難しいです。 Working Out Loud を実践により、他のメンバーに自分の作業内容や思考を共有することで、他のメンバーに自分の能力や考え方を知ってもらうことができ、 適切なフォローを受けることができるようになります。

実践方法

ここからは、実際に私が普段から意識して行っている Working Out Loud の具体的な実践方法を紹介します。 その前に、Working Out Loud を実践する上で欠かせない本人とチームの姿勢について話していきます。

本人の姿勢

恥ずかしがってはいけません。とにかく吐き出すことが大事です。 しかし、ただ闇雲に吐き出すのではあまり意味がありません。 Working Out Loud は思考の整理でもあり、その中で生まれる作業/思考ログは後にドキュメントを記述するときの助けにもなります。 特に後述する「トピックに関する Working Out Loud」は、思考と過程を遡るためのドキュメントとしても活用できるように意識して吐き出すと良いでしょう。

チームの姿勢

Working Out Loud を強制したり、他の人の作業/思考ログを見ることを強制してはいけません。 一人ひとり自分に合った思考整理があるため、Working Out Loud を強制することによって、かえってストレスを与えてしまうことがあります。 あくまでも Working Out Loud は思考整理ツールの一つであり、 個人個人が自発的に行った先にコラボレーションの機会が生まれるものであるという姿勢を持つことが大切です。

具体的な実践

1. Slack のスレッドを活用する

Slack のスレッドを活用しましょう。 自分がこれから作業する内容や、作業中に気づいたこと、作業を終えた後の振り返りなどをスレッドに書き込むことで、 自分の作業内容や思考を整理・共有することができます。

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2. チームの人が見やすいところで Working Out Loud する

チームの人が見やすいところで Working Out Loud しましょう。 times チャンネルではなく、自分の作業内容に関するチャンネルで Working Out Loud を行うことをおすすめします。 誰に見てもらうと一番有益なコラボレーションが生まれそうかという観点で Working Out Loud する場所を選ぶことが大切です。

3. 時間軸とトピックに分けて Working Out Loud する

ただ闇雲に Working Out Loud しても、あまり意味がありません。 Working Out Loud は思考整理ツールであり、その中で生まれる作業/思考ログはドキュメントでもあります。 私は、時間軸とトピックに分けて Working Out Loud を行うことで、後から振り返りやすくしています。

時間軸の Working Out Loud は、チームのチャンネルに毎日スレッドを立てて、その日の作業内容や思考を書き込むことで行います。 割と雑な内容でも、その時の作業や思考をできるだけ多く吐き出すことを意識します。 メモ帳、日報の吐き出し場所としても活用しています。 時間軸の Working Out Loud は、心理的ハードルを下げ気楽に吐き出せる場として活用することにより、 その日の作業や思考を大まかに蓄積することができます。

私は長期休暇明けなどに時間軸の作業/思考ログを振り返ることで、失われた記憶を取り戻すことに役立てています。 また、パフォーマンスが出ていないと感じた時に、時間軸の作業/思考ログを活用して、なぜそのような状況になったのか、時間の使い方は適切だったのかを振り返るようにしています。

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私がより頻繁に活用しているのがトピックの Working Out Loud です。 トピックの Working Out Loud は、深く考える必要があるトピックに対してスレッドを立て、作業内容や思考を書き込むことで行います。 作業/思考ログを見て自分や他のメンバーが成果物の完成に至るまでの過程を遡ることができると理想的です。 よって、そのトピックに関する作業や思考をできるだけ詳細に吐き出すことを意識すると良いでしょう。 私はアサインされた Issue に対して、その Issue に対する思考をスレッドに書き込み、Pull Request 記述前にそのスレッドを見直すようにしています。 そうすることで、比較検討の末採用されなかったアイデアや、コード上に反映されなかったものについても忘れずドキュメント化することができます。 また、 PR にスレッドのリンクを貼ることで、Issue や PR だけでは見えづらい成果物作成までの具体的な過程を共有することができます。

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このように、時間軸とトピックに分けて Working Out Loud を行うことで、 心理的ハードルを下げつつ、質の高い作業/思考ログを残すことができます。

まとめ

本記事では、私が大切にしている考え方である Working Out Loud について紹介し、New Joiner こそ Working Out Loud するべき理由、そして具体的な実践方法や実践に向けた姿勢について述べました。 New Joiner はチームメンバーの中で一番チームについて知識が少ない、そしてチームの中で一番知られていない存在です。 Working Out Loud を実践することで、少しでもこの状況からの脱却を早めることができ、この状況をより有意義なものにすることができます。 是非、Working Out Loud を実践してみてください。