UI/UXデザイナーの西田です。今回は小学校向けのユーザーテスト、海外プロジェクトでの取り組みについて紹介していきます。
教育サービスユーザーへのデザインアプローチ
Quipperでは、おもに小・中・高校生向けに、日本国内ではスタディサプリ、海外ではQuipperという名前で、オンライン上で講義動画閲覧や問題演習ができる学習サービスを提供しています。と同時に、学校の先生や大学生コーチが生徒の学習を管理できるツールも手がけています。
それゆえユーザーの課題を考えるときは、学習者の学力&モチベーション向上だけでなく、その生徒を取り巻くステークホルダーによる「どう学んで欲しいのか」「何を伸ばしたいのか」といったニーズも汲み取る必要があります。
その中でUI/UXデザイナーは、ユーザーが快適に学習コンテンツにアクセスでき、スタディサプリで学んで良かったと感じてもらえるような体験づくりを追求しています。今回の記事では、ユーザーの行動を洞察して、機能の使いやすさや学習効果を検証する定性調査について触れたいと思います。
ユーザーテスト
ユーザーテストとは、ユーザーが実際にプロダクトを使っている様子を観察して、どこまで想定通りに使っているかを検証し、改善点を考えていく手法です(参考:ユーザビリティエンジニアリング)
最近担当した新機能を例に、どうやってユーザーテストを実施したのかを紹介していきます。
テスト準備
まず、ゴール・仮説・評価対象などを設計していきます。とりあえず私の方で叩き台を作ってみて、UXデザイナーやプロジェクトメンバーから意見をもらいながら固めていきました。
今回のテストは、小学校の授業内でプロダクトを使う様子を見学するスタイルでした。
(渋谷区では8000人の小中学生がスタディサプリを使っています)
検証したい内容に優先度をつけて、どこまでなら実現可能なのかを、学校の先生や営業メンバーと協力しながら進めていきました。
生徒一人一人に長時間インタビューするのは厳しそうだったため、アンケート用紙を配布して感想を集めることにしました。小学3年生が一体どこまで言葉や漢字の意味を理解できるか判断しづらかったので、担任の先生に相談しつつ、アンケートを作成していきました(初期案から変わりすぎてビビる…!)
複数校見学することができたので、足りなかった観点や利用パターンを見直して、検証内容をブラッシュアップしていきました。
「気づき」を視覚化する
学校訪問に参加したメンバーの気づきを可視化します。 RealtimeBoardというツールを使って、ポストイット感覚で書き出してみました。
ブレスト形式で気づきを洗い出したら、さらに事実(ユーザーの発言・行動)と 解釈(観察者からみた推測)を精査したり、共通点があればグループ分けをしました。
評価結果から改善点を考える
気づきやアンケート分析をふまえながら、この機能の品質&学習効果を評価します。 これらの評価結果を参考にして、この機能の改善点を見出し、より良いサービスづくりに活かしていきます。
ユーザーテストをやると、問題点や直したい箇所がたくさん出てきます。 事前に検証項目や仮説を用意しておくと、その内容は元々想定していた行動だったのか、想定外だったのか、優先して解決すべき課題なのかを、チーム内で整理して話し合いやすかったです。
ちなみにエンジニアからは「ユーザーが、実装した機能を使ってくれている様子を間近で見れて嬉しい。不具合の再現手順やテストをするときの参考になった」、営業メンバーからは「運用のフォローをする際、先生向けの説明を考えやすくなった」といったコメントがあり、今回やって良かったなと思えました。
ユーザーインタビュー
上記のような機能検証以外にも、ユーザーと交流する機会を設けています。大学受験合格者を祝うイベントでは、「受験生活ではスタディサプリをどう使っていたか」といったお題でインタビューをしました。
海外での取り組み
Quipperはインドネシア・フィリピン・メキシコにもサービスを展開しているので、海外にもユーザーがいます。
今年春にはフィリピンの学校に行って、教師向けプロダクトのインタビューや、プロトタイプを使ったユーザーテストを実施しました。
先生から話を聞くだけではなく、学校内を散策して、
- 先生や生徒は普段どのような日常を過ごしているのか
- 勉強に対する価値観、文化の違い
- ユーザーにとってのプロダクトの存在価値
などを体感してきました。
(フィリピンの学校では、Quipperをよく利用した先生や生徒のランキング表を掲示板に貼り出していました)
このユーザーインタビューの内容を受け、取り組んでいた機能のブラッシュアップを行い、無事海外ユーザー向けに機能をリリースすることができました。
リリース後には海外現地メンバーが動画やフィードバックを共有してくれました。各拠点で協働するサービス開発だからこそ、こうした情報共有はとてもありがたいです。
最後に
学習する目的は人によって様々です。 目的が違うがゆえに、どのようにプロダクトを使うかも千差万別です。 そのユーザー自身にあったレベルやペースで、勉強を楽しんでもらいたい。 私たちはそんなふうに学べる機会を、地域や所得問わず一人でも多くの人々に届けたいと考えています。
もし教育サービスやグローバルな環境に興味があれば、仲間になってくれると嬉しいです。 ご応募お待ちしております。
参考リンク