スタディサプリ Product Team Blog

株式会社リクルートが開発するスタディサプリのプロダクトチームのブログです

Google Play In-App Reviews API の導入により Google Play Store 評価を1ヶ月で2.5から4.5に改善した話

こんにちは。Android エンジニアの @omtians9425 です。スタディサプリ中学講座の開発に携わっています。

今回は、 Google Play In-App Reviews API の導入により、スタディサプリ中学講座の Google Play Store 評価を4.5(2022年10月7日時点)に改善したことについてお話しします。

はじめに

スタディサプリ中学講座は2022年2月にリリースされましたが、2022年4月末時点で Play Store 評価は2.5でした。

評価件数も少なく、低評価がじわじわと増えていく状態でした。リリース前からお客様の声を聞きながら機能追加・改善をおこなってきた中で、その結果の一つであるストア評価が芳しくない、ということに課題を感じていました。

また低評価を放置しておくとスタディプリブランド全体のイメージ低下につながり、中学講座のみならず他プロダクトへの悪影響を及ぼしかねません。

課題と解決策

他社事例など*1*2を調査する中で、ストア評価には一般に以下のような傾向がありそうだ、ということが分かってきました。

  • アプリに満足していないユーザーほど改善を期待し、ストアに点数をつけに行く
  • 一方、アプリに満足しているユーザーほどわざわざ点数をつけに行かない

これが真ならば、ストアに行くことなくアプリ上で気軽に評価できると満足しているユーザーからの点数も増えそうです。これを実現するのが In-App Reviews API です。

In-App Reviews API

アプリ内に下図のようなボトムシートを表示でき、ユーザーは手軽に点数をつけることができます(レビューコメントは任意)。

出典: https://developer.android.com/guide/playcore/in-app-review

ボトムシートのデザイン、文言や操作時の挙動(eg: 評価の送信処理)は全て API に遮蔽されているので、我々がすべきことは「いつ出すか」の設計・実装のみです。

反面、API 利用時に取得できる情報はほとんどありません。例えば以下のような情報は取得できないため注意が必要です。

  • ユーザーが付けた点数、レビューコメント
  • ユーザーが実際にレビューしたかどうか(ボトムシートを閉じられてしまったか)
  • ボトムシートが実際に表示されたか

いつレビューを依頼するか

公式ドキュメント*3には、「有用なフィードバックが得られるようにユーザーがアプリを十分に体験してから表示する」とあります。また一般的に、ユーザーの操作を阻害しないタイミングで表示する必要があるでしょう。

中学講座では「わかりやすい短尺動画」を推しているため、

  • 動画付きレッスンを一定回以上受講した後、ホーム画面に復帰した時に表示

としました。レッスンは連続受講できるため、受講直後ではなく一連の学習が終了しホームに戻ってから表示することにより、ユーザーの操作をなるべく阻害しないようにしています。

また評価取得確率を高めるため、上記の依頼条件を一定期間後に再度満たした場合、ボトムシートを一定回数のみ再表示するロジックも追加しています。ただし頻繁に評価を依頼することは禁止されていたり一定期間に連続して依頼しようとしても API 側で抑制する仕組みがあるため、再依頼までのインターバルや再依頼回数の上限に注意する必要があります。

その他の考慮

万が一低評価が増えた時に機能をオフできるよう、LaunchDarkly を導入しました。効果が芳しくない場合は一度機能をオフにした上で、後から改善施策を打つためです。

本プロジェクトでは GraphQL を使用しており、GraphQL Query として機能毎の flag を取得できるようになっています。LaunchDarkly についての詳細は、弊チームのこちらの記事をご覧下さい。

また、初手では機能を作り込みすぎないことが良いと考えています。当初はボトムシート表示の直前にフックとなるダイアログ(eg: ボトムシートの表示が唐突に感じられないよう評価依頼の案内を事前にするため)を出すことなども検討しましたが、

  • 機能を任意のタイミングでオフにできる作りにしている
  • Google Play の評価は直近の一定期間の平均として算出されており、一度ついた低評価を常に改善するチャンスがある

といった点から「効果が芳しくない場合は一度機能をオフにした上で、後から改善施策を打つ」が可能なため、初手はミニマムにリリースした上で、後続の手段として留めておくこととしました。結果として、短期間のリリースで効果を得ることができました。

結果

2022年10月7日現在、評価が4.5になりました。本機能をリリースした7月中旬から一ヶ月程で到達し、現在も同程度の値を維持しています。

レビューコメント件数も200件近くに増加しています。

また、iOS にも SKStoreReviewController という仕組みがあり、Android と原則同じ仕様でリリースしたところ2.8 → 4.5(2022年10月7日現在)に改善されました。

レビューコメントについても専用の Slack チャンネルで自動投稿されるようにしていますが、高評価に加えて改善につながるコメントも多く頂けております。実際に頂いたコメントから改善に繋げる動きも増えています。

今後は、この結果とアプリインストール数の相関といったビジネス影響をウォッチしつつ、スタディサプリの他プロダクトにも効果を波及させていきたいと考えています。そして、お客様の意見を反映しながらプロダクトの改善を行う、という動きを加速させるような仕組みを継続的に考えていきます。


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