こんにちは。SRE Team の @chaspy です。
リクルートでは、チームがやるべきことを、メンバーの納得感を持って仕事してもらうためにミッションを設定しています。ミッションは WCM - Will / Can / Must というフレームワークを用いて、本人の希望、本人の能力、チームとして求められていることを明文化して決定されます。
そんなミッションですが、実際の仕事は自分1人で独立して遂行するものではなく、何かしらチームメンバーとのコラボレーションによって成し遂げられます。本記事ではそれぞれのミッションをツリー状に可視化し、コラボレーションするチームメンバーとの協業を促進・円滑化した事例を紹介します。
ミッションについての補足
さて、ミッションについてもう少しだけ補足説明をします。
- ミッションには割合が設定され、合計が 100% になるように設定される
- 重要度が高いものほどミッション割合は大きくなる
- ミッションの内容や割合は任意のタイミングで変更可能
- ミッションは各個人ごとに設定される
- 半年単位で設定され、期中と期末に見直しや振り返りが行われる
このように一定期間、やるべきことにフォーカスするために設定され、マネジメントのツールとしての有効性が大きいと感じています。
ミッションの具体例: @chaspy の場合
ミッション自体も実物をみないとイメージが湧かないと思うので、今期の私のミッションを公開します。
- People Management*1
- SRE Team の来期体制を考える
- 技術戦略 DevOps Lead*2
- 開発チームの SRE Capability 習得を支援する*3
- アジリティを損なわずにセキュリティ施策を実施できる体制を作る*4
- 次期EMのオンボーディング支援*5
- 来期の予算計画を立てる*6
本題ではないためそれぞれの詳細は割愛しますが、私のマネージャ(部長)からは People Management
と 来期体制を考えること
、予算計画
を must でお願いされ、その他は自分自身で決定しました。ミッションは通常担当マネージャと当人で相談して決めますが、どちらが素案を出すかはひとによると思います。
ミッションツリーとは
百聞は一見に如かず。まずは見てみましょう、と言いたいところですが、ミッションツリーは miro のマインドマップ によって作られているため、ブログで説明するのは難しいですね。スクリーンショットで頑張って説明を試みます。
K12 SRE というノードから、以下の大項目にまず伸びています。
- Platform
- Security
- Cost Management
- Developer Productivity / Site Reliability
- 技術的負債解消
- Management
- Others
免責事項として、この分類は MECE にすることを最初から諦めています。それぞれの領域や個別のミッションはいろんな側面を持ち、相互に関係し合っているため、完全な分類は不可能です。そこに多くの時間はかけようとしていません。
さて、では一部分をフォーカスして見てみましょう。
"Platform" 以下だとあるメンバーが "Cloud Native Platform を SRE Team として推進する" が抽象度の高いミッションとして存在し、その下に "Job" や "Kubernetes" などのサブ領域があり、そこから個別のミッションにつながっている様子がわかります。
基本的には設定されたミッションを記載しますが、それ以外に、今期誰もやる予定になっていないけれど関連するトピックを自由に生やしたりしています。
また、各ミッションにはコメントとして設定の背景を記載しています。
以下は僕の予算計画についてのミッションの背景です。*7
ミッションツリーを作ったきっかけ
きっかけは偶発的で、ミッションの設定に悩んでいた時に、部長を含む数名のマネージャで"モブミッション設定"をやったときに、単純に他のチーム・チームメンバーが目指している方向を知ることができたらいいな、と思ったことでした。
その前に、まずは自分のチームだけで可視化をしてみるか、と思ってやってみたら案外よかった、という感じです。
ミッションツリーがあると何が嬉しいのか
メンバーにとって
- ステークホルダーマップになっている。自分のミッションについて誰に話せば良いかがわかる。
- 中でもチーム外のミッションが書いてあるとコラボレーションが容易になる
- 視座を高めたり、視野を広げるきっかけになる。組織全体のうち自分のミッションが何に役に立っているのかがわかる。
マネージャにとって
- Technology Management のツールになっている
- 部や他のチームとの関連性を意識・表現できる
- チームメンバーへチームの方向性を示すツールになる
ミッションツリーの活かし方
ミッションツリーの活かし方はただ1つ、それをチームメンバーに共有することです。
これを文章にしたためて共有する他、時間をとって自分のミッションがどういうものなのかを領域別に共有する会も開きました。
これによって、他のメンバーに任せること、自分でやること、相談すべき相手がある程度わかるようになり、コラボレーションがやりやすくなったように感じます。実際にそのようなフィードバックをメンバーからももらいました。
ミッションツリーの今後
今回は初回であり、ツリーの構成自体にも改善要素はたくさんあります。次の半期(2022年4月以降)も引き続き似たようなツリーを作り、チームの方向性を示すとともに、チーム内のコラボレーションを加速させるツールとして活用したいと思っています。
個人的にはこれを部全体でやれると、チーム間のコラボレーションを可視化、あるいは促進させるツールになり得ると思っています。ただし、作る手間もそれなりにかかるし、ミッションをどの程度の粒度で設定しているかはチームによるので、無理に統合する必要もないと思っています。
一方、他のチームの人が何をしているか、何を目指しているかを知ることは、チーム外であればなおさら重要だと思うので、特に協業するチームとはやっていきたいと思っています。実際、"Site Reliability" 領域については開発チームの一部メンバーの一部ミッションについて私がレポートラインのミッションを設定し、この図にも表示しています。これについては詳細は 3/12 の勉強会で発表予定なので興味がある人は遊びに来てください。
おわりに
本記事ではメンバーのミッションをツリー形式で可視化したミッションツリーを作成し、活用した事例を紹介しました。
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Product Security Engineer
おまけ: FY2021/H2 のスタディサプリ小中高プロダクト開発部 SRE グループのミッション
メンバーに広報するために社内で公開している、領域ごとの説明を紹介します。
*1:いわゆる労務管理、目標設定、評価、次期グレード(給与)決定など
*2:技術戦略グループという営みがある。関連: 自分たちのシステムを診断するために DX Criteria"システム"テーマを実施しました - スタディサプリ Product Team Blog
*3:"SRE 的" なことをチームでできるような仕組みを作ったり支援する
*4:セキュリティ、ただ入れるだけだとアジリティ下げるよね、ということで、 Product Security Engineer | キャリア | スタディサプリ BRAND SITE をオープンしたりした
*5:EM はなる人の絶対数も多くないので、オンボーディングが足りてない。いつまで経っても同じようなことをしている。
*6:Cloud, SaaS の利用量の現実から来期どれぐらい使うよというのを出す必要がある。それに伴い新規採用であったり削減可能性のための計画も一緒に考える
*7:メンバー向けだともっと丁寧です